
「国連が世界地図を変更したら、見慣れたメルカトル図法はなくなるの?」と気になっていませんか。
「イコールアース図法とは何が違う?」「アフリカとグリーンランドは、実際にはどれほど大きさが違うの?」と疑問を持つ方もいると思います。
国連総会は2026年9月4日、大陸や国の相対的な面積を表す場面で、イコールアース図法をはじめとする正積図法の利用を促す決議を採択しました。ただし、メルカトル図法の廃止や使用禁止を決めたわけではありません。
世界地図には万能な図法がなく、面積、形、距離、方位のどれを重視するかによって適した地図が変わります。本記事では、国連がイコールアース図法を支持した理由と、メルカトル図法が今後も残る場面を分かりやすく整理しました。
▶本記事の概要
国連がイコールアース図法を支持した理由

- 国連総会が9月4日に地図表現を見直す決議を採択
- 投票結果は賛成164・反対1・棄権6
- アフリカの面積が小さく見える問題を伝える目的
国連総会が9月4日に地図表現を見直す決議を採択
国連総会は2026年9月4日、「Correct the Map」と呼ばれる決議案A/80/L.104を採択しました。正式な内容は、世界の各地域、とりわけアフリカをより公平に表現するため、地図上の面積表現を見直すものです。
決議は、国や大陸の相対的な大きさを比較することが重要な場面で、正積図法を広く利用するよう促しています。その代表例として挙げられたのが、イコールアース図法です。
正積図法は、地球上の面積比を地図上でも保つ性質を持ちます。アフリカ、南アメリカ、グリーンランドなどを見比べたとき、実際の面積に近い比率で受け取れる点が特徴でしょう。
採択内容は、国連の会合報告「General Assembly Adopts Text to ‘Correct the Map’」から確認できます。
投票結果は賛成164・反対1・棄権6
国連総会での投票結果は、賛成164、反対1、棄権6でした。反対票を投じたのは米国で、圧倒的多数の加盟国が決議を支持した形です。
| 投票 | 国数 |
|---|---|
| 賛成 | 164か国 |
| 反対 | 1か国 |
| 棄権 | 6か国 |
提案を主導したのは、西アフリカのトーゴです。トーゴがアフリカ・グループを代表して提出し、アフリカ連合も「Correct the Map」の取り組みを支持しました。
アフリカ連合は2026年2月の首脳会議でも、アフリカの実際の規模を伝える地図表現を後押ししています。今回の国連決議は、その動きが国際的な支持を得た出来事だと感じます。
アフリカの面積が小さく見える問題を伝える目的
メルカトル図法では、赤道から北や南へ離れるほど面積が大きく表現されます。赤道付近に広がるアフリカは比較的変形が小さい一方、高緯度にあるグリーンランドや北ヨーロッパは大きく見えやすい構造です。
見慣れた世界地図だけを眺めていると、アフリカとグリーンランドが同程度の面積に感じられるかもしれません。しかし、アフリカの面積は約3,037万平方キロメートル、グリーンランドは約216.6万平方キロメートルとなっています。
計算すると、アフリカはグリーンランドのおよそ14倍です。アフリカ連合も、この大きな差を地図表現の分かりやすい例として紹介しています。
アフリカの面積資料はアフリカ連合の「THE TRUE SIZE OF AFRICA」、グリーンランドの面積はグリーンランド統計局の地理資料で確認できます。
メルカトル図法は廃止される?

- 国連決議に法的拘束力はない
- 船舶の航法ではメルカトル図法の利点が残る
- デジタル地図もすぐにイコールアースへ変わるわけではない
国連決議に法的拘束力はない
結論からいうと、今回の国連決議によってメルカトル図法が廃止されるわけではありません。国連総会の決議には今回の地図変更を各国へ強制する法的拘束力がなく、学校や企業へ使用中止を命じる内容でもないからです。
国連が促しているのは、面積の比較が目的となる教材、報道、公共機関の資料などで、イコールアース図法を含む正積図法を選びやすくすることです。すべての世界地図を一度に置き換える話ではないと考えると分かりやすいでしょう。
したがって、「国連の世界地図が変わる」という表現は、国連が一つの図法だけを公式地図として固定したという意味ではありません。用途に応じた図法選びを広げる決議として受け取るのが自然です。
船舶の航法ではメルカトル図法の利点が残る
メルカトル図法には、角度を保ちやすく、一定の方位で進む航程線を地図上の直線として描ける利点があります。そのため、船が同じコンパス方位を保って進む経路を読み取りやすい図法です。
米国海洋大気庁の海図解説でも、多くの海図がメルカトル図法を利用していると説明されています。面積の比較には弱くても、航海用の地図としては現在も実用的なのですね。
詳しい用途は、NOAAの海図と図法の解説から確認できます。
一方、航空図は目的や地域によって使う図法が異なります。たとえば米国FAAの区分航空図データにはランベルト正角円錐図法が採用されており、「航空ではすべてメルカトル図法」という理解には注意が必要です。
デジタル地図もすぐにイコールアースへ変わるわけではない
スマートフォンやパソコンのオンライン地図では、Webメルカトルと呼ばれる投影法が広く使われています。地図をタイル状に分割し、拡大や縮小、スクロールを行う仕組みと相性がよいためです。
ただし、Webメルカトルと航海用の通常のメルカトル図法は、細かな性質が同じではありません。ArcGIS Proのメルカトル図法解説でも、この違いが説明されています。どちらも高緯度ほど面積が大きく見えるため、国や大陸の広さを比べる地図には向いていない点が共通します。
今後、教育ページや報道用の世界全図ではイコールアース図法が増える可能性があります。一方で、現在地の確認や街路案内を行うデジタル地図まで、すぐに全面変更されるとは限りません。
メルカトル図法とイコールアース図法の違い
- メルカトル図法は角度と局地的な形を重視
- イコールアース図法は面積の比率を重視
- どちらの地図にも得意な用途と変形がある
メルカトル図法は角度と局地的な形を重視
メルカトル図法は、1569年にゲラルドゥス・メルカトルが発表した円筒図法です。経線と緯線が直角に交わり、狭い範囲では形や角度を読み取りやすい特徴があります。
その代わり、緯度が高くなるほど縮尺が急激に拡大します。南極や北極そのものは有限の位置へ描けないため、一般的なメルカトル世界地図では極付近が省かれていることも覚えておきたい点でしょう。
イコールアース図法は面積の比率を重視
イコールアース図法は、ボヤン・シャヴリッチ、トム・パターソン、ベルンハルト・イェニーの3人が2018年に発表しました。正積の擬円筒図法で、国や大陸の面積比を保ちながら、世界全体を丸みのある形で表現します。
従来から親しまれてきたロビンソン図法に近い見た目を持ちつつ、面積を正しく比較できるよう設計されました。研究の経緯や図法の特徴は、Equal Earth公式サイトで紹介されています。
| 比較項目 | メルカトル図法 | イコールアース図法 |
|---|---|---|
| 重視する性質 | 角度・局地的な形 | 面積の比率 |
| 世界地図の外形 | 長方形 | 左右に丸みがある |
| 高緯度の面積 | 大きく見える | 相対的な面積を保つ |
| 向いている用途 | 海図・方位の確認 | 教育・統計・面積比較 |
どちらの地図にも得意な用途と変形がある
球体に近い地球を平面へ広げると、面積、形、距離、方位のすべてを完全に保つことはできません。イコールアース図法も面積は保ちますが、場所によって輪郭や角度に変形が生じます。
メルカトル図法が間違った地図で、イコールアース図法だけが正しい地図という関係ではありません。何を知るための地図なのかを確かめることが、今回のニュースを理解するポイントだと思います。
世界地図・地球儀を選ぶときの見方
- ニュースの場所を探すなら国名や国旗の見やすさを確認
- 大陸の広さを比べるなら正積図法を選ぶ
- 複数の世界地図と地球儀を見比べると理解しやすい
ニュースの場所を探すなら国名や国旗の見やすさを確認
昭文社の「スクリーンマップ 国旗入り世界全図」は、縦79センチ・横109センチのメルカトル図法による一枚地図です。国別に色分けされ、周囲に各国の国旗も掲載されています。
イコールアース図法の商品ではありませんが、国の位置や国名を探したり、日々のニュースと国旗を結び付けたりする用途には使いやすいでしょう。今回の話題をきっかけに、メルカトル図法の見え方を実際に確認する教材として眺める方法もあります。
商品の図法やサイズは、昭文社オンラインストアの商品情報でも確認できます。
大陸の広さを比べるなら正積図法を選ぶ
国土や大陸の面積を見比べたい場合は、「正積図法」「Equal Earth projection」と記載された世界地図が向いています。子ども向けの世界地図帳を選ぶ際も、図法名や地図の目的を確認すると違いを説明しやすくなります。
メルカトル図法とイコールアース図法を並べると、アフリカ、グリーンランド、ロシア、南極周辺の見え方が大きく変わります。同じ世界を描いていても印象が異なるため、地理学習の題材としても興味深いですね。
複数の世界地図と地球儀を見比べると理解しやすい
地球儀は平面へ投影しないため、大陸の相対的な面積や位置関係を直感的に確認できます。ただし、地球全体を一度に見渡しにくく、持ち運びや壁面掲示には向かない面もあります。
壁にはメルカトル図法やイコールアース図法の世界地図を貼り、詳しく比べたいときに地球儀を見る組み合わせも楽しめそうです。地理・地政学の入門書を添えると、地形だけでなく国際関係や歴史とのつながりも理解しやすくなると思います。
まとめ|メルカトル図法はなくならず用途で使い分ける
国連総会は2026年9月4日、イコールアース図法などの正積図法を広げる決議を採択しました。目的は、面積比較が重要な世界地図でアフリカを含む各地域の相対的な大きさを伝えやすくすることです。
▶本記事の振り返り
- 国連総会の投票結果は賛成164・反対1・棄権6
- 決議はトーゴがアフリカ・グループを代表して主導
- イコールアース図法は面積の比率を保つ正積図法
- アフリカの面積はグリーンランドのおよそ14倍
- 国連決議に法的拘束力はなくメルカトル図法は禁止されない
- 海図・教育・報道など目的に合わせた図法選びが大切
これから世界地図が一斉に変わるわけではありません。メルカトル図法は航海や位置確認、イコールアース図法は面積比較というように、それぞれの得意分野が残ります。
普段見ている地図が何を正確に表し、何を変形しているのかを知ると、世界の見え方も少し変わるかもしれませんね。


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