RX 7は「スタンドアロンソフト」と「プラグイン」の両方で動作します。まずは基本操作から。
■ 基本のワークフロー
1. スタンドアロンでの作業
RX 7アプリを起動し、以下の流れで作業します。
-
ファイルの読み込み
-
メニューの「File」→「Open」から対象のオーディオファイルを読み込む。
-
-
波形とスペクトログラムを確認
-
RXはスペクトログラム表示が強力。これにより「ノイズの位置」「ヒス」「ポップノイズ」などが一目でわかる。
-
横軸=時間、縦軸=周波数、色の濃淡=音の強さ。
-
-
ツール選択
-
画面右側の「Module List」から使いたいツールを選択。
-
各ツールにはプリセットが用意されており、初めてでも迷いにくい。
-
-
処理の適用
-
プロセスをかけたい範囲をドラッグで選択し、「Render」で適用。
-
2. プラグインとして使う
DAW(FL Studio、Cubase、Logicなど)にVST/AUとしてロード可能。
-
インサートにRXプラグインを追加。
-
トラック単位でノイズリダクションやディクリックをかけられる。
注意:
プラグイン版は一部モジュールのみ対応(例:Voice De-noiseなど)。複雑な修正はスタンドアロンのほうが便利。
おすすめの使い方(ボーカル編)
1. Voice De-noise
-
用途: ボーカルのバックグラウンドノイズ除去
-
ポイント:
-
Dialogueプロファイルを選び、「Adaptive」モードで環境ノイズに対応。
-
Reduce Noiseを上げすぎると音が不自然になるので、まずは3~6dB程度のリダクション。
-
2. De-ess
-
用途: ボーカルの歯擦音(サ行など)を抑える
-
ポイント:
-
Spectral modeで高域のみターゲット。
-
Thresholdを調整して、過剰な「スー」音を自然に抑制。
-
3. De-plosive
-
用途: ポップノイズ(破裂音)の除去
-
ポイント:
-
特にP/B音の低域爆発を除去。
-
Sensitivityを50%前後から調整。
-
4. Mouth De-click
-
用途: 唾液音、リップノイズの除去
-
ポイント:
-
Sensitivity高め(5~7)で処理。
-
5. Spectral Repair
-
用途: 突発的なノイズ除去
-
使い方:
-
ペイントツールでノイズ部分を選択。
-
「Attenuate」や「Replace」で修正。
-
これらを組み合わせると、ボーカルトラックが一気にプロ仕様のクリーンさになります。
ボーカル以外での活用シーン
RX 7は実はボーカル以外でもめちゃくちゃ便利です。
■ 楽器録音のリペア
1. ギター・ベース
-
De-hum
-
アンプから出るハムノイズ除去。
-
-
Spectral Repair
-
フレットノイズや不要な弦タッチ音を修正。
-
2. ドラム
-
De-bleed
-
スネアマイクに入ったハイハットのかぶりを低減。
-
-
De-click
-
スネアやキックで発生したクリックノイズの修正。
-
3. ピアノ・ストリングス
-
ペダルノイズ、キークリック音の除去。
■ フィールドレコーディング・効果音編集
フィルム、ゲーム、YouTube制作でも活躍。
-
Dialogue Isolate
-
雑踏の中の声を強調。
-
-
Ambience Match
-
シーン間の環境音を自然につなぐ。
-
■ ライブ録音の修正
-
観客の咳や拍手など不要な音をSpectral Repairで除去。
-
De-reverbでホールリバーブを低減。
便利機能・裏技
● Batch Processing
大量のファイルに同じ処理を一括適用。
● Compare機能
複数設定を比較し、最適な処理を選択。
● Instant Process
ペイントで選んだ部分を即座に処理。
● RX Connect
DAWとスタンドアロン間でファイルをシームレスにやり取り。
RX 7が活躍する具体的なシチュエーション
シーン | 使用モジュール | 効果 |
---|---|---|
ポッドキャスト収録 | Voice De-noise | ファン音・環境音の低減 |
映画のロケ収録 | Dialogue Isolate | 背景ノイズを抑えセリフを鮮明化 |
YouTube動画の編集 | De-click / De-ess | マイクポップ音・リップノイズ除去 |
バンドのライブ録音 | De-reverb / De-bleed | リバーブ過多・マイクかぶりの修正 |
アナログ音源のデジタル化 | De-hum / De-crackle | レコードのハム・パチパチ音を除去 |
ゲーム用効果音制作 | Spectral Repair | 突発ノイズの消去 |
RX 7の注意点
-
過剰処理はNG
-
特にVoice De-noiseは掛けすぎると「水中っぽい音」になる。
-
-
スペクトラル表示に慣れる必要
-
ノイズの視覚的な把握に慣れると修正速度が倍速。
-
まとめ
RX 7は単なる「ノイズ除去ツール」ではなく、
ボーカル、楽器、環境音、効果音…あらゆるオーディオを修正できる総合リペアスイートです。
特に:
✅ ボーカルの唾音やポップノイズの除去
✅ ギター・ドラムの微細なノイズ修正
✅ フィールドレコーディングの音質改善
✅ 映画やゲームの音声編集
で真価を発揮します。
「音にノイズが乗ったら録り直す」の時代は終わり。
RX 7なら「録り直さなくても使える音」に修正できます。
コメント